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我流オーディオ独り言-4 <生音に迫る音> [我流オーディオ独り言]

我流オーディオ独り言 - その4 <生音に迫る音>です。

昨年末の話になります。
当ブログ「我流オーディオ....」をご覧頂き、「スピーカー再生技術研究会」副会長 M氏からご連絡を頂きました。
M氏は、オーディオ全般に明るい猛者なのは勿論ですが、とりわけスピーカー再生の可能性を研究されており、様々なアイデアを実際に試しながら、既成品には無い、ご自分が理想とする音を追求されている方です。

そんな M氏が、最近 至った結論として、
「やはり、振動板の面積が大きくなるほど、また能率が高くなるほど自然な音色になる」
と、おっしゃるのです。

世のオーディオの指向は、正確な振動(音)を実現させるためには、小さなスピーカーの方が有利である。という考え方が支配的で、また、高性能を売り物にするスピーカーほど能率が低いのが現実です。
 ※その理由を一言で言えば、大きな振動板を正確に動かすのは物理的に無理があるという考え方から。
  そして、能率を押さえることで、周波数特性をフラットに整えやすいから と言うことなのだと思います。
M氏は、オーディオの研究家でありながら、世の傾向とは逆の考えに至ってしまったようですね(^^)

そんな時に、私のブログに目が止まったとおっしゃって頂きました。
そう、私も大型スピーカーシステムである NS スピーカーと出逢ってからは、新しい理論が必ずしも絶対ではないと感じ、<NSスピーカーのお話>を書いていたのでした。まさしく M氏と同じことを考えてのことです。

M氏は、ご自分の考えに確証を得るためにも、一度、大型の NS スピーカーの音を実際に聴いてみなければならないと考えられたようです。 私とて、同じ考えの同志ともいえる、しかも耳の肥えたオーディオ研究家のご意見を伺える機会ということもあり、快諾いたしました。

ただ、当方の事情で、秋口から一時期オーディオシステムを封印していたこともあり、セッティングが整うまでに約1ヶ月余りを要し、しかも<その3>で紹介したシステムとはかなり違うスピーカーレイアウトになったということを書いておかなければなりません。以下のような感じに変わりました。(以前のものは<その3>でご覧下さい。理由は、モニタが 46inch に替わったことによります。)


YAMAHA NS-30 JA-6002
 ※特異形状のスピーカーは、YAMAHA NS-30 JA-6002ユニット 1967年製
YAMAHA NS-30 JA-6002
 ※JA-6002は、ピアノの響板をヒントに作られた YAMAHA オリジナルユニット。
  普通に見える丸いスピーカーは、スコーカーで、サイズは30cm。ウーハーではありません。
YAMAHA NS-30 JA-6002

以前のシステムに比べると、かなり普通なレイアウトになりました。(^^;)

特徴的だった、センターの JA-5101 が見当たらないでしょう? 勿論、うちのシステムのですから大型モニタを差し置いてでも、その場所に置かねばなりませんが、モニタが置ける場所もここしか無いんですよ。
というわけで、平面バッフルの JA-5101 は、なんとモニタの背面に!

YAMAHA JA-5101

しかも、斜め45度設置。
おいおい、こんなんで、まともな音になるのか? と思われても仕方ありませんが....

音の経路としては、大半は回折現象で直接耳に届くはずで、残りは天井に反射(入射角・反射角とも約45度でうまく耳に届くはず !?? シンフォニーホールなどのステージ上にある響板と同じ考え方ですな..)、、、いずれにせよ、正面にはきちんと定位するはずと踏んでいました(^^;)
経験的に、多少障害物があっても経路さえ確保しておけば、ほとんど不自然なく聴こえるはずです。減衰しやすい高域は、幸いにしてTV越しにツイーターが直視できていますし。
あと、TVの背面や バッフルの延長となるガラス面などで複雑に反射する音は、うまくすればホール的な効果を期待できるかもしれません。ちなみに TVの背面はプラスチック製のため、別途反射板を置いています。

いろいろセッティングを重ねた結果、障害物(TV)の存在をものともしないセンター定位を獲得することに成功。全く不自然さを感じさせない音が確認できたので、これで なんとか M氏にお披露目できる準備が整いました。11月に連絡をいただいておきながら、お披露目できるようになった時には、ぎりぎりの年末になっていましたけれども(^^;)


M氏は、年末の昼下がり、2時過ぎにお越しになり、終電に間に合うぎりぎりの11時過ぎまで、9時間ぶっ通しで試聴されました。
それをもって「何時間聴いても聴き疲れしない素晴らしい音」と評価頂きました。(^^)
さらには、「極めて自然で、生音に迫る音」との最高の評価も頂きました。

M氏は、学生時代 吹奏楽部だったため、特に管楽器系の生音はよく解っているとおっしゃってましたが、実は、用意していたソースの多くに、管楽器もの(アルトサックスや、トランペット)の JAZZ や吹奏楽の CD が入っていたため、いたく感激されたようでした。

「もし、カーテン越しに生楽器と聴き比べのブラインドテストをしても、判断がつかないかもしれない」とも。
これは、オーディオの評価としては最高の褒め言葉ですよね。ありがとうございます。


また、特に気に入られたのは、低音の出方です。
現代のスピーカーは、小口径で低音が出にくい分を、箱で増強しています。
多くはバスレフという共鳴管を使用する方法。これは、特定の周波数をダクト(管)でブーストする方法で、見方を変えれば、低い音を出すように設計された笛のようなものです。
箱が鳴らす笛のような音な訳ですから、バスレフの音は、耳が慣れてくると人工的に増強された低音に聴こえてしまいます。悪く言えば、低音の周波数は出ているが、低音のニュアンスまでは再現できないんです。
いわゆるこれが オーディオ的な音。M氏は、ダクト特有の音と言われてました。

ところが、NSスピーカーには、そのようなダクトがありません。それどころか、NS のスピーカーBOX は、箱というよりも「枠」というような代物です。後面開放型BOX。ふちを折り曲げた平面バッフル型と言ってもよい構造なのです。
このような箱では、箱によるブーストはありませんので、その分、スピーカーの振動板の音がそのまま再生され、低音のニュアンスもそのまま再現されます。
そのために、NSスピーカーは、大型になる必要があったわけですが、さすがにこのサイズになると、箱のブーストなど無くても必要充分な低音が出せるんですね。
M氏は、しきりに、「箱臭くない低音が素晴らしい」と感心されていました。
自分が探し求めていた音を、ここに見つけたとも...。



実際、1m級の NS スピーカーが奏でる音の生々しさは、小さなスピーカーの比ではありません。
世のオーディオの傾向が、小さなサイズの精緻なスピーカーに移ろうとも、大型スピーカー & 高能率スピーカーが奏でる音の生々しさには、捨てがたいものがあります。
広帯域のハイレゾ音質で無い代わりに、箱で低音を増強する事無く、能率を犠牲にして無理矢理フラット調整化された音でも無い、実に朗々と、のびのび鳴る自然さは、本当に躍動感に溢れる生きた音と言えるでしょう。
M氏もご自分の辿り着いた結論に確証を得て大変満足されたようでした。

M氏とは、こんな話もしました。
「世間が 40年前に見捨てた骨董スピーカーが、こんなに生々しい音を出すことは、胸を張って今の人たちに訴えていかないとダメですね。特にスピーカーで行き詰っている多くの人に聴かせてあげたい」と。 なので、このようにブログで、今までよりもちょっと強気に NSスピーカーの PRをしています。(^^)

M氏は、その後すぐに、たまたまオークションに出品されていた NSスピーカーを即決で落札されました。
NSスピーカーは、40年ほど前の ほんの数年間だけ YAMAHAから販売されていた、構造的にも現代のスピーカーとは全く違う、今となってはオークションでしか手に入れることのできない希少品です。
当方で試聴された翌日に、良いタイミングで、状態の良い NSスピーカーと出逢えたのは、運命的でもあると喜んでおられました。

オークションで、求められる人のところに辿り着く NS スピーカー。
手に入りにくい希少品だからこそ、本当に欲しい人のところにだけ辿り着くわけで、そういったフィルターを通り越すからこそ、永く愛され続けるんでしょうね。 M氏は沢山のスピーカーをお持ちですが、これは絶対に手放さないだろうとおっしゃっていました。



***

オーディオの評価で、「生音に迫る音」というような表現は、うさんくさくて、禁句と言われるものの一つかもしれませんが、あえて、今回は その表現を使ってみました。
オーディオの評価は多分に感覚的で、主観的なものですから、なにをもってそんなことが言えるのかという基準もありませんし、実際、40年前の NSスピーカーと現代の精緻なスピーカーを周波数特性や高調波歪み率などで比較した場合は、新しいもののほうが断然特性が良いであろうことは火を見るよりも明らかです。
聴感的にも、現代の精緻なスピーカーが聴かせるような、きらびやかな高音、オーディオ的な低音を期待すると拍子抜けするかもしれません。

それでも、あえて「生音に迫る音」であると言い切ったのは、間違いなく、現代の精緻なスピーカーには無いものを NSスピーカーが持っているからであり、それが、生音に迫る音の源泉であるからなのです。
曰く、巨大なサイズ & 高能率。
巨大な NSスピーカーは、実に堂々と、浪々と鳴ってくれるのです。


反面、巨大なサイズのスピーカーということで「点音源の理想」から かけ離れているのではないかという反論も当然ありますよね。
でも良くしたもので、高域を受け持つツイーターはまさしく「点音源」なので、定位に悪影響をもたらすようなことはありません。また、巨大サイズのスピーカーの広い音面全体から発せられる音域は、さほど指向性に悪影響を与えない中低域が主成分と考えられる(さらに高域は音面のセンター付近に集中する)ため、懸念されるような悪影響を感じることは無いのです。

逆に、点音源の音面が球面なのに対し、面音源の音面は平面に近いため、音面の空間合成時のバランスも良く、耳に到達した時に自然な距離感を伴って聴こえるというメリットがあると考えられます。


とはいえ、NSスピーカーを、ただアンプに繋いだだけで生音に迫る音が出るというふうに短絡的に解釈されると誤解の元になるかもしれませんね。
実際、NSスピーカーの音を酷評するような方も中には居られるようです。まぁ、これについては、どのようなセッティングで、どんな耳で聴けばそのような評価になるのか私には想像も出来ませんが。
旧い構造のスピーカーに対する偏見をもたず、後面開放と言う構造を正しく理解したセッティング(壁掛けなんて論外ですよ)さえしていれば、少なくとも故障品でない限り、相応の音が出るという事は保証出来ます。

ただ、当方のシステムは独自セッティングの 15ch マルチアンプシステムであるということも加味して記事内容をご判断下さい。(独自セッティングマルチシステムについては、後日改めて紹介させて頂きます。→こちら
とはいえ、やはり40年前の NSスピーカーには、その大きさと独自構造、高能率スピーカーであるがゆえに、生音に迫りうる可能性が十分に秘められているという事を存分に確認することは出来るはずです。



***

年末に M氏を招くため、急支度で整えたシステムでしたが、その後 2ヶ月が経過し、ようやくセッティングにも十分満足できるアタリがつきました。改めて M氏をご招待し、アタリの付いた音を聴き直して頂くつもりです。
私的には、目指す音に到達出来た想いなので、ついにはオーディオの存在を忘れて、音楽に没頭できる環境が整いました。

日々、一流ミュージシャンが、NSスピーカー越しに 生演奏に来てくれる醍醐味。

NSスピーカーと対峙する時、「振動板の面積が大きくなるほど、また能率が高くなるほど自然な音色になる」は、摂理だと確信するのです。



追記:生音の定義について
その5 <生音場に迫るために>でも書きましたが、ここで言うところの生音とは、ステージ(ここではシンフォニーホール)の生音・臨場感を 客席最前列付近で聴く音と想定して書いています。(客席も場所によって相当音が変わりますので) また、生音とは、基本 アコースティック楽器の音を想定しています。
PAを通した音や、電気楽器の音を想定しては書いていませんので、念のため追記しました。
(Jazzボーカルなどは PA通しになりますが、オーディオで聴く場合は、ご都合主義で生声想定です(^^;)
PAライブの音を 生音と定義される方もおられますので、念のため。




→ 我流オーディオ独り言-5 <生音場に迫るために> アップしました。


→ 我流オーディオ独り言-1 <NSスピーカーのお話-1>
→ 我流オーディオ独り言-2 <NSスピーカーのお話-2>
→ 我流オーディオ独り言-3 <NSスピーカー三昧>

→ M氏の個人ブログはこちら




タグ:オーディオ
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コメント 4

Roberto

こんにちは。初訪問です。
素晴らしいですねー!
しかし15chマルチとは...自分には手に負えそうにありません!

これとは別の方法で、また何か試してみたくなりました。
僕も音源は大きい方がリアルと感じることがあります。
(ウーハーが大口径有利なのとは別で、中音域の話です)

何度も試したのは、ラインアレイです。独特の出方、飛び方をします。
小口径フルレンジの音も好きなので、両方を満たす方法はこれかな...
by Roberto (2011-11-10 11:08) 

aspect

Roberto さま コメントありがとうございます。
Roberto 様のブログは、いつも拝見しています。Roberto 様のオーディオブログに
触発されて書き始めた面もありますので、コメントいただけて光栄です。

大口径が鳴らす豊かな中音域は、いいですよねぇ。
恐らく、聴く音楽のジャンルによって好みのスピーカーも変わるのでしょうが、
中音域が伸びやかで綺麗だと、何を聴いても幸福感に包まれます。

by aspect (2011-11-10 11:37) 

Roberto

20年以上前に、ヤマハDSP-1というプロセッサーを買って、ディレイの設定にはまったことがあります。
とても面白かったのですが、あの頃はまだAD変換の質が悪くて、音質劣化が大きかったです。
あと長岡鉄男さんのヒドラというスピーカーがありまして、これを巨大化させたキングヒドラってのを造りました。ユニットが3次元的にあっちこっち向いた奴です。
これがギョッとする臨場感で、音像は定位しながら部屋のサイズが数倍に拡がり、スピーカーの存在が消えるのです。

ASPECTさんのようにクラシック中心なら、音源分散は効果的だと思います。
アバンギャルドの1千万円のシステムを聴いて驚愕したことがあります。あれも位相なんて滅茶苦茶な分散型ですが、ビッグバンドが超リアルでした。

自分の場合は、アンプ1台で、スピーカーに限定してチャレンジしてみようと思います。
いま、全指向性ラインアレイを思いつきました。

by Roberto (2011-11-10 12:48) 

aspect

ヒドラについては、オーディオ研究家のM氏が来られた時に、良く似た印象として
語られていました。
氏は、オリジナルのスピーカー「阿修羅」という、やはり多方向に音を放射させる
タイプのスピーカーでオーディオの賞をとられた方ですが、それらに共通するのは、
スピーカーの存在を意識させず、空間全体を鳴らそうという意志が強いことですね。

NSスピーカーは、その広い面積の振動板(しかも多重振動(意図的な分割振動))で、
空間を鳴らそうとする意志がよく伝わってきます。
うちのは、それに加えて、さらに色々やってますけどね。(^^)

点音源で、ジオラマを見つめているかのように精緻に聴こえてくる音も素敵ですが、
空間全体が音に包まれる感覚は圧巻ですね。
あとは、定位が曖昧にならず、またむやみに広がりすぎないこと(意図する音場感にコントロール出来ること)が大事と考えています。多分に、部屋の条件によりますが。
機会があれば、是非お聴きになってください。

by aspect (2011-11-10 14:11) 

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